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インタビュー

馬なり誕生秘話

——なるほど。作品名と同じく、気負わないのがコツだったわけですね。続いては『馬なり1ハロン劇場』の連載が始まった経緯などをお聞かせください。
オグリキャップとか武豊さんとかが出て、競馬がわーっと盛り上がってた頃に、競馬の好きな友達と武豊さんの同人誌を作ろうと。
その同人誌を競馬マスコミ関係の方にお見せしたところ、「こういうの描ける人は、ちょっと珍しいから漫画描いて」となって、競馬報知さんの雑誌に描くことになったのがきっかけです。
それを続けてくれと言われて連載が始まったのが『それいけ岡部クン!!』。
これを改題したのが、現在の『馬なり1ハロン劇場』です。

元々は、雑誌の隙間とかに使うイラストを描く仕事をして、コマを割った漫画はまったく描いたことがなかったんですけど、「ま、競馬なら好きだから何か描けるかな」といきなり描いちゃったのが今に至ると。
まぁ、商業絵描きだったので、頼まれるとやっちゃうんですよ(笑)。
でも、イラストと漫画とは全然違って大変でした。
多分、使う脳が違うんでしょうね。
写真を撮ることと映画を撮ることって違うでしょ? 多分、それくらい違うと思います。
映画を撮るっていうと、話を1本、何から何まで作るわけですよね。映画に例えるにしては私のは短いですが、それでも大変でした。
あ、今でも大変ですけど(笑)。
——今回、総集編で幻の『それいけ岡部クン!!』が載りましたが、単行本に掲載されていないお話は、どのくらいあるのでしょう?
1冊分はないかなぁ…。
あ、でも8Pものもあったから、ひょっとして?
——ファンの間では、長編も読みたいという声が出ていますが?
あはははは……それは、無理です。
あのー、短距離馬なので、長距離はアップアップです(笑)。
長距離をやったら、向こう正面で置いていかれると思います。
連載開始当時は、やってくれと言われたら、やらなきゃいけない状況もあったので、8Pものを描いたことがあったんですが、ものすごく大変で……。
というわけで、長いのは無理です。
——ちなみに連載第1話は?
メジロアルダンが回避したJC(1989年。優勝馬はホーリックス)です。
この時は、レースの前に「レースに向って馬たちは何を考えているか?」って形で漫画を描こうとしていたんですよ。それでメジロアルダンを中心に話を描いたら、レースを回避してしまったという非常に印象的な回になりました(笑)。
その時の鞍上は岡部さんで、「肉を斬らせて骨を断つ」と言っていたのを良く覚えてます。
でも、実際に切られたのは私のネタでした(笑)。
これで、前もってのネタを描くまいと心に誓いましたね。翌週からは、レースを見て結果をもとにして描く今のスタイルになりました。
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