坊っちゃんの時代とは

関川夏央、谷口ジロー作品。一九八六年「週間漫画アクション」連載開始(初出時『"坊っちゃん"とその時代』)。一九九八年完結。現在文庫判第一巻〜第五巻発売中(双葉社)。

膨大な資料を元に制作された、関川夏央の精密な脚本を、従来の演出法に更なる厚みを加えて、谷口ジローが作画した代表作。近代日本の黎明期「明治時代」、行き先不透明な当時の世相、混沌とする世界情勢の中、次々と生まれた「文学」を物語の中核に据え、新たなマンガとして世に問うた革新的シリーズ。

夏目漱石、森鴎外、石川啄木を始めとする、後世に名を残す文豪たちを始め、幸徳秋水、山県有朋、桂太郎、平塚らいてうなどの歴史的政治家、運動家たちが続々登場し、文学論、思想論を互いに切磋琢磨し、議論し交錯する。そして歴史の流れのまま物語は進む。

過去に書籍や文庫、教科書でふれあった、もしくはこれから出会う文豪たちの作品を、身近な存在に引き寄せる歴史的読みものとして是非手元に置いて頂きたいシリーズです。

第2回手塚治虫文化賞漫画大賞受賞 『坊っちゃん』の時代

シリーズ紹介

文庫版(モノクロ)のシリーズ紹介

第1巻「坊っちゃん」の時代

明治三十八年。現代人たる我々が想像するより明治は、はるかに多忙であった。漱石 夏目金之助、数え年三十九歳。見通せぬ未来を見ようと身もだえていた──近代日本の青年期を、散り散りに疾駆する群像をいきいきと描く、関川夏央・谷口ジローの黄金コンビが放つ一大傑作。第二回手塚治虫文化賞受賞作。
東京のビアホールでの喧嘩をきっかけに親しくなった夏目漱石、森田草平、荒畑寒村、堀紫郎、太田仲三郎を中心に、「坊っちゃん」が完成するまでの経緯と当時の世相を描く。

第2巻 秋の舞姫

それは鴎外 森林太郎の青春であった。いや近代日本の青春そのものであった。明治二十一年九月、鴎外を追い掛けて単身横浜港に降り立った舞姫エリス──家と個人、国家と愛、日本と西欧のはざまで、鴎外の苦悩は遙か歴史を、貫き現代を照射する。(鴎の字は略字)
二葉亭四迷の病死を導入部に、二葉亭と森鴎外とが知り合うきっかけとなった「舞姫事件」を描く。なお、この部のみ、四迷と鴎外の青年期にあたる明治20年代が主な舞台となっている。(鴎の字は略字)


第3巻 かの蒼空に

借金とその算段は、啄木の人生の主要な一部であった。生活の破綻と消費へのあらがい難い衝動。小説は完成せず、短歌ばかりが口をついてでる。蒼空に紛れた青年、啄木の心象に現代日本の閉塞感を重ねて映す。関川夏央・谷口ジローの黄金コンビが描く明治の彷徨、佳境へ。
借金と浪費の毎日を繰り返す石川啄木と、その啄木の才能を認め信じて接する同郷の友人・金田一京助を中心に、当時の文学青年達の生き様を描く。暗い表情の肖像写真からイメージされる「貧困にあえいで夭折した詩人」という人物像ではなく、「明るく無責任で享楽的」な啄木像を描く。


第4巻 明治流星雨

ハレー彗星が長い不吉な尾を曳いて地球に接近したのは、明治四十三年だった。彗星の淡い光芒とともに歴史の舞台を横切った秋水、須賀子、寒村、そして血気に満ちた不運な青年たちの生き様が、明治から現代を照射する。
近代日本の大きな曲がり角となった「大逆事件」を、その首謀者とされる幸徳秋水と管野須賀子の逮捕に至るまでの前半生を中心に描く。


第5巻 不機嫌亭漱石

明治は終焉した。果たして明治時代とは何だったのか。生死の境を往還する漱石の脳裡に去来するものは──鴎外、啄木、子規、一葉、二葉亭、ハーン、そして猫。明治を描ききった関川・谷口コンビの傑作、ついに完結!第二回手塚治虫文化賞を受賞。
夏目漱石の「修善寺の大患」を中心に明治の最末期を描く。


漱石イラスト
坊っちゃんの時代公式サイト